あおの華流記

中国ドラマ感想記……というか"萌え"と"愚痴"を語る

幕間番外 藍忘機と魏無羨 その6



 

 

 

 

 

前回までの記事を読みたい人は

陳情令カテゴリーからどうぞ

 

dramamiru.com

 

 

 

 

 

今回は26〜27話 "雨の中の選択"のシーンをメインに。

このシーンは誰の心にも残る名シーンですよね。

 

 

 

 

ネタバレ&BL注意

原作がBL小説です

そのような表現もOKな方のみ閲覧してください

大いにネタバレも含みますのてご了承を

 

 

 

 

 

 

 

 

まずは直前──

このエピソード前には伏線有りで、狩りで揉めるシーンやら、実は原作では忘羡にとってはBL的にとても大事なシーンがあるのですが、ここでは黙秘しておきます。

 

 

 

 

狩りでは不愉快なことだらけだった魏無羨。

その後温情から温寧が行方不明と聞いて金麟台へ乗り込む。

 

 

金子勲は本当にやなヤツだよねぇ。

藍氏に対しても失礼すぎる。

しかもそれを制止しない金氏の奴らも同罪。

場を納めるために我慢する兄上と、頑として拒否する藍湛が対比して興味深いのもこのシーン。

 

そこへ現れて横から藍湛を助ける魏嬰。

彼にはもちろん別の目的。

心配そうな藍湛。

 

 

当然巻き込まれるのは江澄。

ここまでも細かいことは沢山有ったけど、分かれ道になったのはここだね。

ここで魏嬰の味方を出来なかったから江澄は魏嬰を失ったんだと思う。

 

私がここでもっとも不満だったのは"江澄はあれだけ温情に世話になったのになぁ"と言うところ。

金丹の件は当然知らなかったこととはいえ、最初に匿ってくれたことや、自分だって彼女を好きだったのでしょと言う部分←ドラマ版に限る

『お前良くそんなこと言えるよなぁ』と言うのは見ていた私の心の声。

 

そして金氏は温氏よりもタチが悪い。

温氏はどう見ても悪い奴らだった。

力に屈してる人たちはいても同意する奴らは居ないくらい見るからに悪かった。

しかし金氏は宗主以下善人の振りをして悪事を働く。

"正義"を声高に言いながら腹の中真っ黒。

こっちの方がよりタチが悪い。

 

 

 

 

 

そして雨の中の探しに出る魏無羨と温情。

 

 

温情が大雨の中叫んで弟を探し回る姿は誰もが同情するし心を痛めたはず。

反面、撮影大変だったんだろうなぁとかリアルに思ってしまう私なのですが。

 

 

その後怒りにまかせて笛を吹いてしまう魏嬰。

後になって振り返ると優しい温寧をこの時どうすべきだったのかとか思うところも無いでは無いのですが、リアルタイムで最初に見たときは確かに見てるこちらも魏嬰とともに怒り爆発だったので、そういう心理描写が上手いというか、見ているこちらの気持ちに沿って"絵的"にも進むなぁと思った次第。

 

 

 

 

ことの成り行きを止めることも叶わず、止めたかったのに間に合わなかった、自分には出来なかったと"悔い"しかなかったと思われる藍湛。

 

 

 

 

大雨の中のこの傘の描写がすべてを現していて、とにかく演出が凄いと思った。

そして遠くから魏嬰たちが近づいて来る。

 

 

 

いつでも正論を吐くしかない藍湛と自分の心にそのまま従う魏嬰。

どちらが正しいとかこの時点では誰も問えないし、答えも出せない。

 

 

もちろん止めたい藍湛だけど、魏嬰は従うはずもなく……

 

 

 

この時見ていて思ったのは"正義"とはなんぞや?

おそらくそれは人それぞれに違うもの。

個人が思う正義、従う正義は、個人の思いなのだから誰もが違う物差しを持っている。

この時の忘羡二人もその物差しは微妙に違うものだった。

そしてどちらも信念を持っているのだから道が違うのも仕方が無かった。

 

 

 

 

少年の日のそれぞれの"正義"は漠然としていた。

"一生恥じることなく正義を貫けるように"

それは誰に対して?

自分の立つ場所、自分の背負うもの、人それぞれ推し量るものは違います。

ただひとつ、"自分の心に正直であれ"と思ったはず。

ここまで互いに自分の信じるものを追い求めてきた。

互いにそれは同じだと思ってきたかもしれない。

けれど実は少しだけ道がズレていた。

 

 

今更ながらにそのことに衝撃を受けたのは藍湛の方だろう。

間違っているわけではない。

けれど少し違っていたのだ。

あるいは見ている立ち位置が違っていただけなのかもしれない。

同じものを見ていたけれど見ている、立っている場所がちょっとだけ違ったのかもしれない。

 

 

魏嬰は絶対に譲れないという。

見逃すのか──

見逃さないなら戦うのか。

逡巡があったはず。

見逃すと言うよりは、魏嬰と戦いたくないというのが正直なところだろうし、見逃すと言うよりも見送ると言う気持ちだっただろう。

 

 

"見送る"

自分の目の前を通り過ぎ、行ってしまう魏嬰。

おそらく藍湛を襲ったのは物凄い"孤独感"ではないだろうか。

物理的な二人の距離は心理的な二人の距離になって襲いかかってきて、この時の藍湛は動けなかったと思う。

もしかしたら自分が間違っているのかも。

初めてそう思ったのかもしれない。

 

 

私は間違っているのとは少し違うと思う。

さっきも言ったように正義は人それぞれ。

立場や思想により違うのだから、どれが正しいとは他人には推し量れない。

ただ魏嬰には譲れないものがあったのだ……

 

 

 

 

この藍湛の涙が孤独と敗北を現している気がしてこちらも泣けてしまう。

何に負けたのかもわからない。

 

 

この傘を使った演出がこちらにすべてを伝えてくる。

 

 

自分の気持ちを伝えきれなかった。

守りたいのに守れなかった。

もしかしたら……

一緒に行ってあげることが出来なかったと、悔やんだのかも。

 

藍湛にとっては過去に感じたことのない重い孤独と敗北感だったと私には思えた。

 

 

藍湛の涙がセリフなど要らない圧倒的な想いを伝えてきました。

 

 

 

台本では泣くシーンではなかったけれど監督がオーケーにしたと聞きました。

 

この取り残されて一人静かに泣くシーンがすべてを物語っていると思えます。

最高のシーンだと絶賛したいです。

 

 

 

馬で行く魏嬰も泣いていました。

残る藍湛も泣いていました。

激しい雷雨で他には何も音がしないのに、二人の慟哭が聞こえるかのようなシーンでした。

 

ドラマの名場面だと思います。

 

 

 

 

 

 

次回へ続く

 

 

 

 

 

 

大変な撮影現場と楽しそうな忘羨

 

youtu.be